患者が背負う過酷な現実。過去最悪の大量感染。今の所自然回復に望みを託す状況がほとんど。
日本から国境なき医師団に参加している女性、吉田照美さんの報告。
リンク先☟
防護服に手袋、そしてゴーグルと、完全防備で活動しているのは、国境なき医師団のスタッフ。
そして、国境なき医師団が世話をしている患者たちを苦しめているのが、エボラ出血熱です。
このエボラ出血熱に感染すると、高熱に加えて、鼻や口などから激しい出血をもたらし、50%から90%という高い割合で死に至る、大変恐るべき病です。
そのウイルスが猛威を振るう現場で、実際に医療活動に従事していた日本人女性が、先日帰国し、安藤優子キャスターが直撃しました。
安藤キャスターの質問に答えるのは看護師の吉田照美さん。
安藤キャスターが「エボラ出血熱の現状をご覧になって、まずどういうふうな印象を持たれましたか?」と質問すると、吉田さんは「感染している可能性のある方が次々と増えていって、恐ろしい病気だなというか、威力が強いというか、そう感じてきました」と語った。
吉田さんは国境なき医師団に参加し、7月20日までのおよそ1カ月間、エボラ出血熱が流行する西アフリカの国・シエラレオネでの活動に加わった。
そこで見た患者が背負う過酷な現実について、吉田さんは「助からないとわかった人には、何も言えないですね。申し訳ないんですけど、やっぱり...」と語った。
リベリア・モンロビアの住宅に、白い防護服を着て入る医療従事者。
彼らは、エボラウイルスに感染して死亡した女性の遺体を引き取りにきた。
その様子を、不安げに見守る近所の住民たち。
感染が広がらないよう、女性の遺体は、厳重にシートにくるまれていたが、住民の間には、感染への恐怖が広がっている。
2014年2月ごろ、ギニアから広まったエボラ出血熱。
その後、隣国のシエラレオネ、リベリアにも広がり、新たにアフリカ最大の人口を抱えるナイジェリアでも感染者が確認された。
WHO(世界保健機構)によると、この4カ国で8月1日までに感染が確認、または疑われる死者の数は887人にのぼり、過去最悪の大量感染「アウトブレイク」を引き起こしている。
その病原体であるエボラウイルスは、感染したヒトや動物の血液や尿、唾液などの体液を媒介し感染する。
高熱や下痢などの症状が現れ、口や鼻、腸など全身から出血するのが特徴。
致死率は、高い場合で90%にのぼることもあり、今のところ有効なワクチンはなく、自然回復に望みを託すほかないのが現状となっている。
イギリスの航空大手「ブリティッシュ・エアウェイズ」など、一部の航空会社が現地への乗り入れを休止する中、ついにアメリカ人からも感染者が出た。
アメリカ国務省などによると、西アフリカで活動していたアメリカ人医師ら3人が、エボラウイルスに感染し、このうち1人が死亡して、2人はアメリカ本土での治療を受けるため、ジョージア州アトランタへ搬送された。
患者は、防護服姿で手を引かれながら、ゆっくりと病院内の施設へ向かっていた。
さらに、8月5日、西アフリカへの渡航歴がある男性1人が、エボラウイルスの感染が疑われる高熱を発症し、ニューヨークのマウントサイナイ病院に隔離され、検査を受けている。
この突然の事態に、ニューヨークのタブロイド紙は、「エボラだ! ニューヨークで男性検査」、「ウイルス恐怖に包まれる」などと伝えている。
市民は、「心配です。ホテルで働いていて、大勢の旅行者や外国人が来るので怖い」、「今のところ心配していない」などと話していた。
5日、東京都内で記者会見を開いた国境なき医師団の吉田照美看護師。
安藤キャスターが「実際に治療にあたるうえで、最も困難だったのは、どんなことがあげられる?」と質問すると、吉田さんは「やはり、(従事する)人がいないことでしょうかね。テントの中で、患者さんの医療にあたる時間というのは、最大1時間」と語った。
アフリカの暑さの中で、防護服を着用したまま行う作業について、吉田さんは「暑いのはもちろん、きついことなんですけど、そういう(動きの)不自由さもありますね」と語った。
また、感染の疑いがある少年に注射による薬の投与が行われる。
安藤キャスターが「注射針の採血が最も神経を使う?」と質問すると、吉田さんは「そうですね。怖かったですよね。神経を使いますよね。仮に、針刺し事故を、わたしが同僚にしてしまったら、彼ら彼女らは、感染する可能性がとても高いので、緊張の高い作業ですね」と語った。
帰国した吉田さんによると、とにかく極めて厳しい現場だったという。
ゴーグルを装着するなど、防護服を着た状態で治療にあたるのは、集中力が途切れてしまうため、最大1時間が限度だという。
また、患者に食事を配膳している写真を見ると、防護服を着たスタッフたちが食事を配るなど、完全に隔離した形になって治療を受けている。
エボラウイルスによって亡くなった患者は、白い袋に入れられ埋葬されるが、現地スタッフらとともに穴が無数に掘られ、次々と亡くなっていく患者が埋葬されているという。
西アフリカの非常に過酷な現実の中で、看護師として、1カ月現状を見続けた吉田さん。
日本の人々に伝えたいことについて、吉田さんは「エボラというのは、本当に感染威力も強いし、致死率も高くて、とても怖い病気だと思うんですけど、病気の1つであることには変わりがないと思うんです。日本ではない、遠いアフリカの地ではありますけど、そこで苦しんでいたり、つらい思いをしている人たちがいるということを、わかっていただければいいかなと思います」と語った。
さらに複雑な現実があった。
妹をエボラ出血熱で亡くした女性。
彼女は、妹を国境なき医師団に送ったことを地元の人たちから強く非難されているという。
これは、国境なき医師団こそ、エボラ出血熱のウイルスをまき散らしているという誤解がまん延しているのだという。
このエボラ出血熱が日本に上陸する可能性については、現在のところ、日本の防疫体制というのは厳しく、さらに手厚いということから、上陸する可能性は極めて低いといえる。
- 「メモ1枚」も持ち出せない、エボラ治療施設の映像を公開 ── 国境なき医師団THE PAGE 8月6日(水) 18時26分
- 【図解】エボラ出血熱の拡大状況 AFP=時事 8月6日(水) 16時58分
- エボラ熱の封じ込めに苦戦、リベリアでは路上に放置される遺体もロイター 8月6日(水) 15時13分
- WHO「単なる旅行者、エボラ感染リスクは非常に低い」中央日報日本語版 8月6日(水) 14時54分
- リベリアでスペイン人宣教師がエボラ感染、治療のため帰国へAFP=時事 8月6日(水) 12時1分
- 米エボラ患者に投与の実験薬、「大量生産は困難」と専門家AFP=時事 8月6日(水) 10時52分
- エボラ感染の米女性、帰国し入院 防護服姿で病院へ CNN.co.jp 8月6日(水) 10時47分
- エボラ出血熱、海外拡散の懸念も…WHO進藤氏 読売新聞 8月6日(水) 10時41分
- エボラ熱、サウジで初の疑い 西アフリカから帰国の男性 AFP=時事 8月6日(水) 8時31分
エボラ出血熱の最前線で活躍する国境なき医師団の役割はとても大きい。しかし,それでも感染拡大が止まらない。
詳細:リンク先
2012年末からの政変や武力衝突で暴力が一層激化した中央アフリカ共和国では、国民の4人に1人にあたる100万人が家を追われて国内外に避難しています。生活環境は過酷で、病気にかかる人が後を絶ちません。長い間国際社会から顧みられず、医療制度そのものが崩壊してしまったこの国でなんとか生き延びようとしている人びとに、今すぐ援助が必要です。
家を追われて避難している人びとの証言
「まるで動物のような生活です。飲み水は不衛生です。自分自身を守ることすらできません。もし国境なき医師団の病院に来なければ、1歳の子どもを失くしていたでしょう。彼はマラリアにかかっていました」
「雨の中、子どもをつれて外で生活しています。食べるものを手に入れるのも困難です。男たちは外に出て狩りをすることもできません。外には武装した人たちがいるからです」
「子供たちはしょっちゅう具合が悪くなるけれど、彼らにあげる薬がありません。妊婦たちは流産してしまいます。私たちは病気に参っています」
国境を越えて届ける援助にご協力ください。
皆様一人ひとりのご支援が、命の危機に直面している人びとを救う大きな力となります。
き医師団です
国境なき医師団は、1971年にフランスで設立された、非営利で国際的な民間の医療・人道援助団体です。
ボスニア、ソマリアなどの紛争地や、感染症がまん延する地域、ハイチ大地震や東日本大震災などの自然災害の被災地で、緊急医療援助活動を行ってきました。
活動資金のほとんどを民間からの寄付でまかなっており、独立・中立・公平の原則に基づく人道援助活動が評価され、1999年にはノーベル平和賞を受賞しました。
約世界70の国と地域で、日本人医師や看護師をはじめとする3万5000人のスタッフが、援助活動を行っています(2012年度)。
2014/08/04 にライブ配信
日本からの医師団のひとり、吉田照美さんによる詳細な報告。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒、熱気、体力の消耗。
感染者の移動により、新たな感染者が増えてしまう。
WHOがやっと非常事態宣言だけを出した。
シエラレオネ、テントの中、10代の男の子、下痢発熱脱水嘔吐。熱気の中、防護服やゴーグルをつけ、注射針を取り扱うむずかしさ。
ギニア、村人にエボラとは何かを説明する啓発活動。
感染した患者さんの住居の消毒。衣類も家具も全て次亜塩素酸ナトリウム消毒する。その上で焼却する。
防護服は鏡を見ながら皮膚の露出がないか,仲間にも確認させるダブルチェック。
治療センターは土地の交渉をし、ブッシュを切り拓くところから始まる。